漢方医学は中国(漢の国)から日本に伝わり、その後日本で発展した療法です。
中国の医学?とも思うかもしれませんが、中国の伝統医学は『中医学』であり、漢方は日本の医学です。
漢方は、原則として2種類以上の生薬(植物や鉱物の中の物質)をブレンドして作られたお薬です。
一般的な西洋医学の西洋薬は、1つの有効成分を用いてピンポイントで症状を抑えるように作られており、副作用が出る成分が用いられている場合もあります。
一方で漢方薬は、複数の生薬をブレンドしており、体全体の治癒力が高まる効果もあることから体質改善の効果も期待できます。
ところで、喘息は気道の炎症が発作を誘発しますが、漢方で喘息の症状を緩和・改善させる事ができるのでしょうか?
漢方は喘息に効くの?
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漢方医学では、望聞問切(ぼうぶんもんせつ)と呼ばれる四診(4つの診断)を行います。
○望診
顔色や舌の観察、動作などから診察する方法。
○聞診
呼吸音や息の臭いなどから診察する方法。
○問診
患者さんに質問をして診察する方法。
○切診
腹を触ったり脈を診て診察する方法。
という4つの診断を行い、医師は証(患者さんの体力や免疫力、症状のあらわれ方)を診ます。
そして、もう一つの診かたがあり、それは気・血・水(き・けつ・すい)と呼ばれます。
これは、気、血、水が体の中を循環しているかを患者さんの体の不調から判断します。
証は体質、気・血・水は不調を診る判断方法として用いられています。
先ほど、漢方には体質改善の効果も期待できると述べました。
漢方で体質改善が期待できる病気の症状としては、アレルギー体質、疲労、冷え性、老化が挙げられます。
ですので、アレルギー体質が大きく影響している喘息に対して、漢方を処方するのは有効な手段と言えるのです。
(関連記事) 喘息のアレルギー要因のアトピー型喘息と、非アトピー型喘息とは?
また、西洋医学で治療方法が明確になっていない病気にも漢方は強いとされており、西洋薬の代替薬としても期待されています。
ただし、慎重な判断も必要になります。
西洋薬と漢方薬を併用しても大丈夫?
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血圧を下げたり、痛みをとるといったピンポイントで治療する病状には西洋薬を用いる。
西洋薬では明確な結果を示せない慢性的な症状に漢方薬を用いる。
これが一般的なようです。
そして、西洋薬と漢方薬を併用することは一部の西洋薬を除き、ほとんど問題ないとされています。
これは、使用する漢方薬と効能が重複しており、注意が必要になるからです。
その一部の中には、気管支拡張薬や解熱鎮痛剤が含まれています。
喘息の発作時に服用する漢方の生薬と気管支拡張薬の効能は重複し、長期管理に服用する漢方の生薬とステロイドの効能も重複していることがあります。
しかし、長期管理薬に漢方を服用するとなれば、ステロイドの量を減らすことが必要になります。
そのため、併用の仕方によっては、漢方の長所を活かして治療に用いる西洋薬を少なくできるメリットがあります。
ですので、喘息に漢方を用いることを推奨している医師もいます。
むしろステロイドを使わず漢方で治すことを目指す医師もいるようです。
喘息で用いる西洋薬と漢方薬の組み合わせは難しいため、医師に漢方主体の治療ができないかを確認して下さいね。
医師がステロイド薬を処方するのは、治療薬として安定した効果があるというのが一番大きいようです。
なので、詳しく話を聞いてみると、もしかしたら喘息の代替薬として漢方が処方できるのかもしれません。
まとめ
喘息に漢方を用いることは有効な手段です。
漢方の治癒効果により、西洋薬では完治は難しいとされる喘息の改善に繋がる可能性が期待できます。
しかし、効能が一般的に処方されるお薬と重複していることもあるため、組み合わせには注意が必要です。
(関連記事) 喘息の発作が頭痛薬でおきるアスピリン喘息とは?
また、西洋薬は病気の症状によって処方されるお薬が決まっているのに対し、漢方薬は一人一人の体質や不調を診て処方される漢方が決まります。
なので、漢方を服用できない方もいると思いますし、ご自身で判断されるのは危険です。
医師への確認は必ず行いましょう。