喘息の発作緩和に『腹式呼吸』すると逆効果??

喘息と腹式呼吸の関係について

喘息と腹式呼吸の関係について

「緊張した時には、深呼吸すると落ち着く」

こういった話は聞いた事があると思います。

そして呼吸には、

・胸式呼吸(きょうしきこきゅう)

・腹式呼吸(ふくしきこきゅう)

の2種類があることも聞いたことがあるのではないでしょうか?

“リフレッシュ”に効く胸式呼吸(きょうしきこきゅう)

“リラックス”に効く腹式呼吸(ふくしきこきゅう)

とされていますが、喘息の発作にはどちらが効果的なのでしょうか?

胸式呼吸のほうが腹式呼吸よりも良い?

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胸式呼吸は、無意識にしている呼吸で「浅い呼吸」です。

イメージとしては、胸を膨らませる呼吸となります。

この浅い呼吸は交感神経を刺激し、適度な緊張感を与えることができます。

また、脳をスッキリさせるリフレッシュ効果もあるのです。

一方で、腹式呼吸は「深い呼吸」です。

胸を膨らませるイメージです。

深い呼吸は副交感神経を刺激して、リラックス効果をもたらします。

喘息には交感神経を刺激するのがよいとされています。

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それは、リラックスすると筋肉が緩み、気道の粘膜もむくんで空気の通り道が狭くなるからです。

ですから、リラックスしすぎる腹式呼吸は発作を誘発しやすいと言われます。

これだけ見ると、筋肉に適度な緊張感を与える胸式呼吸のほうが効果的だと感じるはずです。

ですが、発作が起きた時は、腹式呼吸が救いになるのです!

どうして腹式呼吸は発作に効くの?

腹式呼吸は横隔膜呼吸とも呼ばれ、横隔膜の動きがポイントになります。

横隔膜はみぞおちの辺りにあり、肺と心臓を支え、厚い筋肉でできています。

息を吸うと、肺が膨らんで横隔膜は下がります。

息を吐くと、肺が縮んで横隔膜は上がります。

腹式呼吸をすることで、無意識に横隔膜を上下させているのです。

しかし、私たちが普段しているのは胸式呼吸 (浅い呼吸)です。

なので、いざ腹式呼吸をしようとすると全ての人が上手くできるわけではありません。

喘息の発作がおこると、空気の通り道である気道が狭くなるため、息が吐ききれず肺に空気が残ります。

そうなると、呼吸が上手くできません。

横隔膜も下がったままです。

ですが、横隔膜を押し上げて空気を出してあげる事が出来れば呼吸が楽になります。

なので、腹式呼吸を正しく行える事は、発作に備えて大切です。

腹式呼吸は深く空気を吸い込んでゆっくりと吐く事で、横隔膜に集まっている自律神経を刺激します。

そして、リラックス状態である副交感神経を働かせる事ができるのです。

そうすると、自律神経のバランスが整う為、落ち着きことができて横隔膜も動きやすくなります。

ですから、腹式呼吸を普段から意識することは呼吸を整える為にとても重要なんですね。

腹式呼吸の仕方について

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腹式呼吸は立ったままでもできますが、あおむけになって行ったほうがやりやすいと思います。

1) 息を吸う

口を閉じて鼻から大きく息を吸います。

この際、意識するのは肩が動かないようにすることです。

肩が動いていると腹式呼吸できているようで実はできていないんです。

立ってやると、はじめは難しいです。

なので、あおむけになるのをおすすめします。

またお腹に手を当ててみると分かりやすいと思います。

2) 息を吐く

大きく息を吸ってお腹が膨らんだら、次は息を吐きます。

今度は口から吐きます。ゆっくり時間をかけて吐くと良いです。

膨らませたお腹をへこませるイメージです。

置いた手で軽く押してあげるのも補助になるので良いかと思います。

腹式呼吸をやってみると分かりますが、お腹だけが上下に動いてますよね。

肩など余計なところが動いてないのは、しっかりと腹式呼吸できている状態です。

お子さんの腹式呼吸について

子どもの腹式呼吸について

学校の授業で腹式呼吸を習っているかもしれませんが、お子さんには中々難しいものです。

ですから、お家で練習をしておきましょう。

その際、衣類が呼吸の妨げになることがあります。

ボタンを外したり、チャックを緩めたりして腹式呼吸をしましょう。

もし発作がおきたら腹式呼吸ができるように備えます。

また、発作の時は息を吐く回数が増えるので体の中の水分を失ってしまいます。

ですので、腹式呼吸をしてからお子さんが水が飲める状態であればコップ1、2杯の水を飲ましてあげてください。

腹式呼吸は痰(たん)を出しやすくする効果もありますので、練習して体で覚えておきましょう。

ここまで見て勘違いして欲しくないのは、リラックスはダメということではありません。

リラックスするななんてあまりにも酷ですし、逆に体にダメージを与えてしまいます。

交感神経と副交感神経はどちらに偏り過ぎても良くありません。

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リフレッシュとリラックスをバランス良くすることが大切で、体を労ってあげましょう。